福島に
集積する先端研究の拠点 ①

現在、福島には廃炉・環境回復などの復興事業を支えるための先端技術開発に向けて、様々な研究拠点が集積しています。ここでは日本原子力研究開発機構(JAEA)をはじめとした各拠点の概要説明、廃炉に向けた課題やJAEAで進められている研究、浜通り地域に計画されている福島イノベーション・コースト構想を紹介します。

研究拠点マップ

福島第一原子力発電所の廃炉に向けた課題

3号機の内部調査結果

炉内状況の把握

原子炉の安定状態確認、燃料デブリ取り出し方法の決定に向けて、燃料デブリの分布など炉内状況を把握する必要があります。
カメラ・線量計の挿入、ロボットの投入、ミュオン(宇宙から届く高い物質透過能力を持った粒子)を用いた原子炉の内部調査等により、1〜3号機の燃料デブリ分布の推定が進められています。

気中-横アクセス工法の概念図

燃料デブリの取り出し

燃料デブリの取り出しに向けて、原子炉格納容器等の健全性や燃料デブリの臨界リスクを評価し、それに応じて健全確保や臨界リスクの検知・回避のための技術開発等を進める必要があります。
燃料デブリの取り出しは、PCV横からアクセスして、気中に露出している燃料デブリに水を掛けながら切削し、横から取り出しを行う「気中-横アクセス工法」を先行することとしています。。

ガレキ試料の採取

放射性廃棄物の処理・処分

福島第一原子力発電所事故で発生する廃棄物には、破損した燃料に由来する放射性核種を含んでいること、冷却のために注水した海水成分を含む可能性があることなど、従来の原子力発電所で発生する廃棄物と異なる特徴があります。
固体廃棄物については、2017年に中長期ロードマップにおいて処理・処分に関する基本的考え方が示され、2021年度頃までを目途に、処理・処分方策とその安全性に関する技術的見通しを確認することを目標としています。

原子炉格納容器調査装置
資料提供:IRID/東芝

遠隔技術の活用

原子炉建屋や原子炉格納容器内は放射線量が高い環境にあり、作業員の被ばくリスクを低減するためにも、炉内状況の把握や燃料デブリのサンプリング等には遠隔操作型の機器・装置(ロボット等)の採用が必要となります。 これまでに、建屋内の調査や除染、原子炉格納容器調査等にロボットが用いられています。。

原子炉格納容器内部調査装置
資料提供:IRID/日立GE

各研究拠点の概要

福島県福島市

福島大学環境放射能研究所

森林、河川、湖沼、海洋等の環境における放射性核種の動態に関する基礎的ならびに応用的研究を行っています。
2019年度からは福島大学共生システム理工学研究科と連携して大学院修士課程が設置される予定です。
福島県南相馬市

福島県環境放射線センター

原子力発電所周辺のモニタリングや空間放射線量率の常時監視を行っています。

 

JAEA福島環境安全センター

放射線モニタリング技術や遠隔放射能測定技術の開発、広範囲における計測などを行っています。
福島県三春町

福島県環境創造センター

環境放射能モニタリングや環境回復・創造に向けた調査研究の推進、モニタリングデ-タや調査研究成果の情報取集・発信、展示施設等を活用した放射線教育・環境教育などを実施しています。
福島県三春町

JAEA
福島環境安全センター(三春町)

福島の復興・再生に向けた様々なニーズに対応するため、環境中の放射性物質の移行調査、放射性物質の分析技術の高度化など、環境回復に係わる研究開発を行っています。
福島県三春町

国立環境研究所 福島支部

環境放射能汚染からの環境回復に貢献するための廃棄物管理技術開発や環境動態・影響評価、被災地における環境配慮型の復興まちづくり支援、将来の災害に備えた環境管理システムなどの災害環境研究を実施しています。
福島県大熊町

JAEA
大熊分析・研究センター

廃炉に向けた放射性廃棄物の処理・処分のために必要な放射性廃棄物の分析や、燃料デブリの処理・処分方法に関する技術開発を行います。
福島県富岡町

JAEA
廃炉国際共同研究センター

国内外の英知を集結する場の整備を行い、産学官の人材が交流するネットワークを形成し、廃炉に向けた研究開発と人材育成を一体的に進めます。
福島県楢葉町

JAEA
楢葉遠隔技術開発センタ-

廃炉作業を進めるために必要な遠隔操作機器・装置(ロボット等)の実証試験や要素試験を行っています。