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朝日連峰での現地調査

朝日連峰について

朝日連峰の概要

 朝日連峰は日本海側の山形県と新潟県との境に位置しています.磐梯朝日国立公園の中核をなしており,北の国道112号で出羽三山,南は国道113号で飯豊山地と分けています.朝日岳(あさひだけ)は,山形県と新潟県の県境上,朝日山地の南部にある山塊です.主峰の大朝日岳(標高1,871m)は県境ではなく山形県に属しており,北東に小朝日岳(標高1,647m),北西の県境上に西朝日岳(標高1,814m)があります.東北地方では最大のスケールを持ち,山腹を刻む谷は深く,「東北のアルプス」と称されています.晴れた日には,山頂から月山,鳥海山,蔵王連峰をはじめ,美しい日本海までも眺めることができ,多くの登山者に愛されています.大朝日岳は日本百名山の一つに数えられ,その中でも人気の高い山としても知られています.また,ブナの原生林は21世紀に残したい自然百選にも選ばれています.

 








一般財団法人 自然公園財団出版「日本の国立公園」


  
小朝日岳から月山・鳥海山を臨む            小朝日岳から飯豊山方面を臨む           

朝日連峰の自然

 花崗岩質の隆起山地である朝日連峰は日本海からわずか40kmという位置と,南北に走る連峰という立地条件から有数の豪雪地帯として知られています.夏の残雪,稜線上の高山植物,山麓から山腹にかけてのブナの原生林,長年にわたる激しい侵食によって刻まれた深い渓谷が特徴です.標高1,200mまではブナを中心とした広葉樹林,その上部の1,200-1,400mではミヤマナラやミネカエデなどの落葉低木林,1,600m以上の高山帯ではハイマツの低木林が分布しています.その上部はいわゆる高山帯となっており,高山植物のヒメサユリ,ミヤマウスユキソウなど,尾根筋の比較的ゆるやかな斜面に咲き乱れる花畑の群落は,訪れる人を魅了します.ヤマネやニホンカモシカ,ニホンツキノワグマなどの哺乳類,イヌワシやクマタカ,オオタカ,ハヤブサなどの猛禽類を含む37科101種の鳥類の生息が確認されており,1984年(昭和59年)には国指定大鳥朝日鳥獣保護区(希少鳥獣生息地)に指定されています(面積38,285ha,うち特別保護地区8,611ha).

  

現地調査

現地調査の概要

 磐梯朝日国立公園は日本で3番目の広さをもつ国立公園で,大きく4つの地域(猪苗代湖一帯,出羽三山朝日,飯豊,磐梯吾妻)に分けられます.これまで,山岳性アザミウマ類の分布調査は主に出羽三山地域,飯豊地域,そして磐梯吾妻地域の特別保護地区が含まれる場所で実施してきましたが,朝日連峰の特別保護地区では未実施でした.そこで,平成25年10月14日,朝日連峰の小朝日岳周辺にてアザミウマの分布調査を行いました.ここでは朝日地域の古寺鉱泉登山口から小朝日岳までの間で見られた生物を紹介させて頂きます.
 今回の調査は古寺鉱泉からハナヌキ分岐を経て,古寺山,小朝日岳の巻き道を経て熊越(小朝日岳と大朝日岳との間),そして小朝日岳(標高1647m),小朝日岳山頂から登山口まで戻るルート沿いで行いました(このルートにおける特別保護地区は小朝日岳付近です).今回の調査も月山の調査と同様にビーティング・ネットを用いた採集のほか,ユリ科植物の葉に付く種類の分布確認のため,マイヅルソウ,ツクバネソウなどの葉をめくりながらの登山となりました.

  

現地調査で出会った植物


ナンブタカアザミ 
 アマドコロ
ツクバネソウ 
 エゾオヤマノリンドウ
ドウダンツツジの仲間 
 ツバメオモト
 アカミノイヌツゲ
 ナナカマド
 マイヅルソウ

現地調査で出会った昆虫

 古寺鉱泉から小朝日岳まではナンブタカアザミとエゾオヤマリンドウを除くと花はほとんど終わっていましたが,月山と違って標高が低かったせいか,また,小春日和の暖かくて良い天気だったせいか,ヒオドシチョウ,マルハナバチの仲間やクロスズメバチの仲間など,いくつかの昆虫を見ることができました.古寺山から小朝日岳側に下る道沿いから小朝日岳までの間ではハヤチネフキバッタが見られました.本種は山地帯上部から上の高標高域で見られる高山性のバッタ類で,福島県内では飯豊山で見られます.古寺山から小朝日岳側に下りきった場所には小さな湿地があり,その場所の水溜まりにはコセアカアメンボの仲間がいました.小朝日岳の巻き道への分岐手前にも小湿地があり,ここではルリボシヤンマの仲間が産卵していました.

 マルハナバチの仲間

 ハヤチネフキバッタ



磐梯朝日遷移プロジェクト





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