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福島大学 共生システム理工学類柴崎研究室

TEL.024-548-8437

〒960-1296 福島県福島市金谷川1番地

メコングループ

メコングループとは

 メコン川流域地下水ヒ素汚染研究グループの略称です.
 アジア砒素ネットワークおよび応用地質研究会,新潟大学や地学団体研究会新潟支部をはじめとするメンバーを中心に2008年1月に発足しました.そこに応用地質学や水文地質学,鉱物学、分子微生物学などの専門家や福島大学・新潟大学の学生が新たに加わり,2008年4月から本格的な活動を開始しました.ガンジス川流域のインドやバングラデシュ,中国の内モンゴル自治区をはじめとするアジア各地の地下水ヒ素汚染問題について調査や対策活動の経験をもとに,ベトナム・カンボジアのメコン川流域で発生している地下水ヒ素汚染問題に取り組んでいます.


         
      地団研専報58 「メコンデルタの地下水ヒ素汚染ータイ島の実態と対策ー」
   入手ご希望の方はこちらからお問い合わせください→アジア砒素ネットワーク本部事務所

地下水ヒ素汚染とは

 これまでに世界の大河川流域の多数の地域で地下水ヒ素汚染が確認されています.とくにアジア地域では中国・新疆ウイグル自治区,インド・西ベンガル州,タイ,中国・内モンゴル自治区,バングラデシュ,カンボジア,ベトナムなどで地下水ヒ素汚染による中毒患者が報告されています.
 大河川流域のデルタ地域では,地下の堆積物(とくに粘土や有機質土など)にヒ素が多く含まれています.これが地下水に溶け出し,ヒ素濃度が高い地下水が分布する地域があります.このような地域で1980年以降,農業開発のために多数の灌漑用井戸や飲料水用の井戸が掘られました.そして,この水を飲んだ住民が猛毒のヒ素による中毒患者として報告されるようになりました.ヒ素は地下水中で無色・無味・無臭であるため,汚染地域の住民は患者が現れるまで気づかずに利用しています.

柴崎研究室での取り組み

 柴崎研究室では,アジア砒素ネットワークや新潟大学,九州大学の研究者と共同して,メコンデルタの地下水ヒ素汚染調査を行ってきました.ヒ素汚染の分布状況はカンボジアとベトナムで異なっており,ベトナム側では高濃度ヒ素汚染地が散在しています.そこで,ベトナムおよびカンボジアの高濃度ヒ素汚染地を広域的に調査して,これまで詳細な調査を行ってきたメコン川中州のタイ島のヒ素汚染状況や汚染メカニズムと比較検討をおこない,メコンデルタの地下水ヒ素汚染の特徴を明らかにします.
  これまでに学生3名,院生1名が卒論・修論でヒ素汚染の分布状況や水利用の実態,地下水流動と地下水ヒ素汚染の問題について研究を行いました.




これまで調査を行ってきたメコンデルタ地域の地図




カンボジア南部での地下水水質調査




ベトナム・ドンタップ省タイ島での地下水観測孔設置のための井戸掘削

地下水位の連続観測

 ベトナム・ドンタップ省に設置した地下水観測孔で地下水位の連続観測を行っています.水位データは30分ごとに絶対圧型自記水位計によって記録されます.そのデータは一年に3回程度(6月,9月,12月)の頻度でデータ回収と機器の保守点検を行っています.データ回収時には手動式水位計でも水位を測定します.
 


     

ベトナム・ドンタップ省タイ島に設置した地下水観測孔での地下水位観測


 

地下水観測孔に設置した自記水位計を回収し,地下水位の連続観測記録を回収する様子

河川水位および降水量の観測

 タイ島の地下水は,メコン川と一部つながっていると考えられることから,河川水位の変動と地下水位の変動の相関性を検討しています.そのために2009年1月から河川水位の連続観測を行っています.また,雨量についても2009年5月から10分ごとの雨量を観測しています.




ベトナム・ドンタップ省カオラン市付近を流れるメコン川の様子




ベトナム・ドンタップ省タイ島に設置したメコン川の河川水位観測施設(橋の上からの様子)




ベトナム・ドンタップ省タイ島の民家に設置した自記雨量計

地下水中のヒ素濃度の測定

 アジア砒素ネットワークの廣中博見氏が開発したヒ素フィールドキットを使用し,ヒ素濃度を測定しています.


   

ベトナム・ドンタップ省タイ島の灌漑用井戸で,水質調査のために採水する様子




採水した地下水のヒ素濃度をヒ素フィールドキットで測定する様子

3次元地下水流動シミュレーション

 雨量・地下水位・河川水位などの観測結果や,ボーリング調査などの水文地質学的調査の結果を用いてベトナム・ドンタップ省タイ島付近を対象とした3次元地下水流動シミュレーションモデルを作成し,地下水の流動解析を行っています.このモデルではタイ島付近の現在の地下水位変動を再現しています.そして,このモデルをもとに,自然条件(河川水位変動)や人為的条件(水路の開削や井戸からの揚水)により地下水の動きがどのように変化するか,その影響を検討しています.そして,実際の地下水位変動を観測して得られた結果とモデルの計算結果を比較して,このモデルの妥当性を評価しています.また,地下水流動の計算結果から,高濃度のヒ素汚染地下水がどのように移動するかを計算しています(粒子追跡計算・物質輸送計算).

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