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福島大学 共生システム理工学類柴崎研究室

TEL.024-548-8437

〒960-1296 福島県福島市金谷川1番地

研究紹介

研究概要

 地球上の淡水資源の中で重要な地位を占めている地下水は,水循環システムの中で海や湖沼,河川とつながっています.地下水は湧水として湧き出すこともあり,多くの生命を育んでいます.地下水の流動は環境の変化や人為的影響により変化し,ときには地盤沈下や水質の悪化などの地下水障害を発生することがあります.
 研究室では,国内・国外のフィールドで地下水盆の構造や帯水層の特徴を明らかにし,湧水の枯渇や異常な地下水位の低下,地盤沈下,地下水汚染などの問題に取り組んでいます.実際の観測データとシミュレーション技術をもとに地下水の動態を把握し,適切な地下水盆管理や地下水環境の保全を目指しています.

地下水盆とはなんでしょうか

 英語では,地下水盆のことを「Groundwater Basin」といいます.
 地下水盆とは,簡単に言うと,地下水が入っている「お盆」,すなわち地下水の「容れ物」のことです.しかし,「容れ物」といっても,コップやバケツのように単純なものではありません.地下水は,地層や岩石の中の「飽和帯」と呼ばれる水で満たされた空間に存在する水のことですから,地下水の
「容れ物」は,地層や岩石からできているわけです.
 地下水を含む地層のことを「帯水層」と呼びますが,厳密には「地層や岩石を構成する粒子間の間隙が大きく,地下水によって飽和されており,我々人類が利用できる水を産出することができる地層や岩石」のことを帯水層と呼びます.
 地下水盆は,一つの大規模な帯水層,またはいくつかの帯水層を包含し,かん養区および流出区を含めた水収支区を示す単元と定義されます.これは,水文地質学における最大の単元であり,地質学における地層区分の層群または累層群に相当し,一つの堆積盆と考えてもよいわけです.ここでひとつ注意しておくことは,地下水盆と地表水の集水域とは,必ずしも一致しないことです.
 地下水盆の概念は,第四紀地質学の進歩とともに明確になり,地下水資源管理の単元として大きな役割を果たしてきました.
                 【参考文献: 「新版地学事典」(平凡社)】

 地下水盆をきちんと管理しないと,地下水の過剰揚水による地下水位の異常低下をはじめ、地盤沈下や地下水の塩水化,地下水汚染などさまざまな地下水障害が起きてしまいます.

地下水シミュレーションとはどのようなものでしょうか

 地下水シミュレーションとは,コンピュータ上で地下水盆や帯水層構造をモデル化して、地下を複雑に流れる地下水の挙動を解析し可視化することです.
 そのために,まずは地質ボーリングや井戸資料を数多く収集・解析して,地下地質状況を明らかにして水文地質区分や帯水層区分を行います.つぎに、揚水試験や各種土質試験の結果を解析して,帯水層パラメータを算出してモデルに入力します.また,実際の水文地質状況を反映した境界条件をモデルに設定します.モデルには,地下水涵養量や井戸からの地下水揚水量など、時系列的に変化するデータも入力します。
 作成したモデルが実際の地下水流動を再現できるかどうかを確認するために、モデルの検証を入念に行う必要があります。モデルの検証は,観測された地下水位と計算された地下水位の分布や変動が合うかどうかチェックし,必要に応じて実際の水文地質状況を考慮しながらモデルの入力値や境界条件を修正していきます.モデルが過去の地下水流動を十分に再現できることを確認できれば,そのモデルを将来予測計算や物質輸送計算,地盤沈下計算などに用いることができます.
 地下水シミュレーション解析を行うことにより,地下水の動態を統一的に任意の時間で示すことができます.また,現実には起こりえない状態も含めてさまざまな条件下で模擬実験を行うことができ,その結果を比較検討することが可能となります.さらに,さまざまな条件下での予測をすることで,現実のシステムの危機を回避するための対策や,緊急時の意思決定をより迅速に行うための予行演習をすることができます.

    

柴崎研究室の国内・海外活動

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現在取り組んでいる主な研究テーマ

メコングループ
喜多方清水再生
仙台平野南部地下水調査
阿武隈川流域の地下水盆
那須扇状地地下水調査
鶴岡地下水調査
裏磐梯地下水調査

Shibasaki Lab柴崎研究室

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