キャンパス内のチョウ類 of 塘研究室

アゲハチョウ科(4種)
ナミアゲハ*Papilio xuthusLinnaeus 4〜5月,7〜9月
カラスアゲハ*P. dehaaniiC. & R. Felder 5月,8〜9月
クロアゲハ*P. protenorCramer 5〜6月
キアゲハ*P. machaonLinnaeus 5月2003-2004年に記録
シロチョウ科(6種)
モンシロチョウ*Pieris rapae(Linnaeus) 4〜10月
スジグロシロチョウ類* 4〜10月スジグロシロチョウP. melete(Ménétriès)とヤマトスジグロシロチョウP. nesis(Fruhstorfer)を区別していない
モンキチョウ*Colias erate(Esper) 4〜11月
キタキチョウ*Eurema mandarina(de l'Orza) 4〜11月(成虫越冬)
ツマキチョウAnthocharis scolymusButler 4月
スジボソヤマキチョウGonepteryx aspasia(Ménétriès) 4月(成虫越冬)2003-2004年, 2008年以外で確認
シジミチョウ科(12種)
ゴイシシジミTaraka hamada(H. Druce) 8月
コツバメ*Collophrys ferrea(Butler) 4〜5月
ルリシジミ*Celastrina argiolus(Linnaeus) 4〜8(11?)月
ベニシジミ*Lycaena phlaeas(Linnaeus) 4〜11月
ツバメシジミ*Everes argiades(Pallas) 5〜10月
ヤマトシジミ*Zizeeria maha(Kollar) 5〜11月
トラフシジミ*Rapala arata(Bremer) 4〜5月
オオミドリシジミFavonius orientalis(Murray) 7月
クロミドリシジミF. yuasaiShirôzu5月(幼虫の確認月)2003-2004年, 2008年以外で確認
ミズイロオナガシジミAntigius attilia(Bremer) 7月2003-2004年, 2008年以外で確認
ウラミスジシジミWagimo signatus(Butler) 5月(幼虫の確認月)2003-2004年, 2008年以外で確認(幼虫のみ)
ウラギンシジミCuretis acutaMoore 9〜11月
タテハチョウ科(21種)
コミスジ*Neptis sappho(Pallas) 5〜10月
イチモンジチョウ*Ladoga camilla(Linnaeus) 6月
ウラギンヒョウモン*Fabriciana adippe(Denis & Schiffermüller) 6月
クモガタヒョウモン*Nephargynnis anadyomene(C. & R. Felder) 5〜6月,8〜9月
オオウラギンスジヒョウモンArgyronome ruslana(Motschulsky) 7月
ミドリヒョウモンArgynnis paphia(Linnaeus) 8〜9月
メスグロヒョウモンDamora sagana(Doubleday) 6月,8月
ルリタテハKaniska canace(Linnaeus) 4月,7〜8月(成虫越冬)
ヒメアカタテハVanessa cardui(Linnaeus) 6月
キタテハ*Polygonia c-aureum(Linnaeus) 9〜10月(成虫越冬)
コムラサキApatura metisFreyer 8月
オオムラサキSasakia charonda(Hewitson) 7月
スミナガシDichorragia nesimachus(Doyére) 8月
クロヒカゲ*Lethe diana(Butler) 5〜10月
ナミヒカゲ*L. sicelis(Hewitson) 6〜8月
オオヒカゲNinguta schrenckii(Ménétriès) 7月
コジャノメ*Mycalesis francisca(Stoll) 5〜6月
ヒメジャノメ*M. gotamaMoore 5〜6月,8月
ヒメウラナミジャノメ*Ypthima argusButler 5〜9月
ジャノメチョウ*Minois dryas(Scopoli) 7〜9月
サトキマダラヒカゲ*Neope goschkewitschii(Ménétriès) 5〜9月
セセリチョウ科(8種)
コチャバネセセリ*Thoressa varia(Murray) 5月,7〜8月
ダイミョウセセリ*Daimio tethys(Ménétriès) 5〜7月
ミヤマセセリ*Erynnis montanus(Bremer) 4月2003-2004年に記録
チャバネセセリPelopidas mathias(Fabricius) 9月
オオチャバネセセリPolytremis pellucida(Murray) 6〜9月
ヒメキマダラセセリOchlodes ochraceus(Bremer) 6〜7月
キマダラセセリPotanthus flavus(Murray) 7月
イチモンジセセリ*Parnara guttata(Bremer & Grey) 7月

*印を付した種は,2003-2004年の調査でも記録された種。

*野沢沙樹・塘 忠顕(2004)福島大学構内における蝶類の記録(2003年5月ー2004年5月),福島生物,(47): 29-36.

森の宝石「ゼフィルス」

雄の翅が美しく輝くゼフィルスの仲間は日本に25種類が生息しています(すべての種の雄の翅が輝く訳ではありませんが)。キャンパス内に生息する「雄の翅が輝く」種はオオミドリシジミだけです。信陵公園の頂上?では毎年テリトリーを張る雄個体が見られます。その他,馬場横の雑木林の中,図書館横の林の中でも幼虫や成虫を確認しています。ゼフィルスの仲間は,オオミドリシジミ以外にクロミドリシジミ,ミズイロオナガシジミ,ウラミスジシジミを確認していますが,あまり個体数は多くありません。クロミドリシジミはキャンパス内の1本のクヌギの樹から幼虫を確認していますが,それはこの約15年間に2回のことです。なお,大学周辺からはもう1種類,ウラゴマダラシジミを確認しています。

ヒョウ柄ではなく,ヒョウモンです

オレンジ色の地に黒い紋をちりばめた翅をもつことから「ヒョウ紋」の名がある蝶がいます。日本には14種類が生息していますが,キャンパス内からは5種が記録されています(このページの一番上の写真はオカトラノオの花で吸蜜するオオウラギンスジヒョウモンです)。どの種類も雄と雌ともに「ヒョウ紋」ですが,メスグロヒョウモンの雌だけは「ヒョウ紋」ではありません。その名前のとおり,黒い地に白い帯状紋が走る翅をもっています。

春の白いチョウ

白いチョウと言えば,モンシロチョウを思い浮かべる人が多いでしょうけれど,キャンパス内ではモンシロチョウはそれほど多い存在ではありません。明るく開けた草地などにはモンシロチョウがいますが,雑木林の林縁部などで見かける白いチョウはスジグロシロチョウの仲間です。本州にはスジグロシロチョウとヤマトスジグロシロチョウの2種類が分布しますが.キャンパス内にこれら2種類が両方とも分布しているのかどうかはまだ調べていません(ヤマトスジグロシロチョウがいることは確認しています)。モンキチョウは翅が黄色いチョウで,前翅の中央に黒い小さな紋が一つずつあるので「モンキ」という名が付けられています。ところがこれは雄の話で,雌は翅が白いチョウなのです。これも慣れないとモンシロチョウと紛らわしいかもです。ただし,モンキチョウの雌の翅の色は白というよりクリーム色なので,慣れるとすぐに区別できるようになります。春先はちょっと小型の白いチョウが飛んでいることがありますが,これはツマキチョウという種類です。雄は前翅の先端が黄色ですが,飛んでいる時,この黄色い部分はあまり目立ちません。雌にいたっては黄色い部分がありません。このチョウは春の短い期間だけ現れるいわゆる「スプリング・エフェメラル」の仲間です。春の白いチョウはもう1種類います。春先に雑木林の中でちょっと汚れた白いチョウが飛んでいたら,それはスジボソヤマキチョウの雌です。成虫で越冬し,春に芽吹いた植樹(クロウメモドキ)に産卵するために飛んでいるのです。スジボソヤマキチョウは夏に羽化しますので,夏に見かけても良いのですが,キャンパス内で夏に見たことはありません。