概要・理念 | 国立大学法人 福島大学 共生システム理工学類

「人 - 産業 - 環境の共生」

 共生システム理工学類では、文理融合の観点から「人 - 産業 - 環境の共生」をテーマに、3専攻体制での教育・研究を展開しています。

  •  「人間支援システム専攻」では、情報工学や電子工学を活用して、人間の感覚機能や運動機能に関する支援システムの開発をめざします。
  •  「産業システム工学専攻」では、大量生産・大量消費型ではなく、省資源・循環型の持続可能な産業システムの確立をめざします。
  •  さらに「環境システムマネジメント専攻」では、人間の生活や社会活動が環境に与える影響を調査・分析し、自然界のシステムを理解し、様々な環境問題の解決を目的としています。
人 - 産業 - 環境の共生

共生システム理工学類の特色

理工学系の学問を人文社会科学系の学問と同時に学びながら、自分の進みたい分野を見つけ、必要な知識や技術を習得。

 地球環境の保全や身体障がい者の機能支援など、現在の科学技術が直面している課題を解決するには、従来のように単一学科で学ぶ知識や技術だけでは対応できません。共生システム理工学類では、人文社会科学系と理工学系の科目を同時に学びながら、自分がどのような分野で活躍したいかを見つけ、必要な知識や技術を習得していきます。低学年ではまず、複数の分野が融合した学問のおもしろさを学んで専門分野を絞り込み、高学年ではその分野を深めるとともに、実習などを通じて理工系の基本能力やものづくりの実践力を確実に身に付けることをめざします。

人理解にもとづく、人支援の科学を発展させます。

 人理解と情報工学・メカトロニクスを融合したヒューマンインターフェイスの開発をめざして、少子高齢化、地球環境問題など、従来の科学の域を超えた、人を直接支援する技術、ライフサポートシステムの開発を目指します。

人や環境との共生に配慮した持続性循環型産業システム科学を発展させます。

 これからは大量生産・大量消費ではなく、人や環境との共生に配慮した持続循環型生産システムが求められています。物質エネルギー工学などの技術に加えて、企業経営や地域社会システムを理解し、経営的センスと製造プロセスを理解できる能力を身につけ、21世紀型産業システムづくりを担う人材を育成します。

自然資源の保全・浄化・管理計画の科学を発展させます。

 全盛期の急激な開発によって損なわれた自然・生態系の回復を視野に、自然資源の保全・浄化・管理計画の科学を発展させます。

文理融合だからこそ、できることがある。

 こうした文理融合による学びのシステムは、自分の適性や社会の現状を知る上でとても有効です。逆に、「何が必要なのか」を理解してから学ぶため、より多くの知識と技術の修得にもつながります。共生システム理工学類の学問領域はとてもおもしろく、やりがいがあり、「科学技術を幅広く学び、新しいことに挑戦してみたい」という学生には最適なものと言えるでしょう。

◆ 求める学生像
 21世紀の科学技術の発展に、人-産業-環境の共生の観点から取り組むことに関心を持ち、科学技術の発展に貢献しようとする学生。

研究者インタビュー

共生システム理工学とはどんな学問分野なのだろう?
新しい枠組みの中で、実際にどんな研究が展開されているのだろう?
そんな「?」を胸に、2人の研究者にインタビューしてみました。

先進材料システムの開発と力学的評価

小沢 喜仁 材料をシステムとして考える複合材料の発想技術で、持続可能な社会の実現に貢献したい。 教授 小沢 喜仁
PROFILE

工学博士。専門は材料力学。東北大学大学院工学研究科博士課程後期修了。
1986年より福島大学教育学部助教授。1999年より教授、2004年より現職。

 私が担当している材料力学という分野は、機械工学のものづくりにおいて基礎となる部分です。2種類以上の材料を組み合わせた材料を複合材料と呼びますが、軽くて強い、複雑な形に成型することが可能という性質をもつことから、航空・宇宙機器、身近なところではスポーツ用品などに多く利用されています。ものづくりには、機械や構造物に作用する力とそのかたちの関係の理解、そして材料の性質をうまく利用し、最適化することが求められます。私の研究室では、先進複合材料をはじめとする新素材について、過酷な環境下での機械的特性や寿命などの材料特性評価、環境にやさしい先進複合材料の開発と利活用技術の研究に取り組んでいます。

 研究室の取り組みの一つに、天然素材に学ぶ材料作りがあります。そこで着目しているのが、吾妻山系ができる前の火山灰堆積土や醸造酢製造の過程で出るバクテリアセルロースといった原料です。利用価値がないと考えられていた火山灰や廃棄物を使い、それぞれの性質をうまく利用し材料を生み出すこと。ものづくりの世界で石油への依存度を下げようとする時、天然物素材を利用した新たな材料作りには大きな可能性と意義があるのではないでしょうか。

 機械を設計する際には、力学的な条件だけでなく、経済的、環境的、人間的条件なども考慮した上で、それらを満足する最適な構造や材料を決めることが求められます。材料工学という分野は一見とても地味ですが、材料をシステムとして考える私たちの発想と技術には、いろいろなところに影響を与えるだけでなく、持続可能な社会の実現に貢献する可能性もあるのです。

地下水資源の評価と地下水盆管理

共生システム理工学類長 共生システム理工学類長 共生システム理工学研究科長 二見 亮弘 心理の探求を目的とする研究科で、大きな自信と広い可能性を獲得してほしい。
PROFILE

博士(理学)。専門は水文地質学、地下水盆管理学、応用地質学。信州大学理学部地質学科を卒業後、国際航業(株)に入社、国内外の地下水調査などに従事。2004年より現職。

 人類にとって重要な水資源である地下水を持続的に有効利用することを目的に、地下水の容れ物である地下水盆の構造や帯水層の特徴を解明するとともに、シミュレーションモデルを使って地下水の動態を量的・質的に把握する研究に取り組んでいます。また、地下水の安全性を確保し、地下水障害を起こさないための持続的な地下水の利用方法と管理方法を探るため、アジアやアフリカ、中南米など、世界各地をフィールドに調査・研究を行ってきました。

 地下水のヒ素汚染が問題となっているベトナムのメコンデルタでの調査には、研究室の学生や院生も参加。地質や医療など他分野の専門家との共同研究を経て、日本語・英語・ベトナム語の論文集に取りまとめました。調査に参加した学生たちは、現地の学生との共同作業や村に足を運んでの調査などを通して、とてもたくましくなりました。地下水の研究は、現場を見ないとなかなか実感できないものだけに、これからも多くの学生たちを海外の調査・研究に参加させたいと考えています。

 学類の環境システムマネジメント専攻、大学院の環境システム分野には、水の循環プロセスをテーマとする研究者が多くそろっています。その根底にあるのは、多彩な生命を育む水を広く深く学ぼうという発想です。日本はもちろん、これから国づくりを進めていこうとする国々にとって水問題は死活問題でもあります。21世紀は「水の世紀」とも言われますが、専門の技術者はまだまだ足りないのが現状。フィールドから多くのことを学び、様々な水問題に立ち向かうことのできる人材となって、世界へ羽ばたいてほしい。キャンパスの内外に豊富な研究フィールドをもつ福島大学は、水について研究を進める上でとても恵まれた環境にあると思います。