「きたかた清水再生のページ」に,ようこそおいでくださいました。
福島県喜多方市の御清水公園で,下の写真のような看板をご覧になった方もいらっしゃることでしょう。
福島大学共生システム理工学類 柴崎研究室では,2007年2月9日から,御清水公園で地下水位の連続観測を開始しました。
上の写真は,地下水位観測施設の全景です。右側の箱の中には自記水位計が入っています。この水位計で,深度15 mまで掘削した地下水観測孔の中の地下水位を連続的に観測しているのです。
<地下水位観測の目的>
柴崎研究室では,平成18年度から「特定非営利活動法人 超学際的研究機構」の「きたかた清水の再生によるまちづくりに関する調査研究」プロジェクトに参加しています。
飯豊連峰をはじめとする山々に囲まれた喜多方は,水と緑の豊かな地域です。かつて喜多方市街地にもたくさんの清水(地下水が自然に湧き出る場所,湧水のこと)がありました。「御清水公園」も,かつてこの近くで湧き出ていた「御清水」という湧水の名前にちなんで付けられたものです。
ところが,喜多方の地下水を取り巻く環境は大きく変化してしまい,残念ながら市街地の清水のほとんどは枯渇してしまいました。
この地下水観測施設は,現在の地下水位の変動状況を観測して将来再び清水を復活させるための基礎資料を得ることを目的に,超学際的研究機構や「きたかた清水の再生によるまちづくりプロジェクト」関係者のご協力により設置したものです。
<地下水位観測孔とは...>
地下水位観測孔とは,地下水位の観測を目的とした専門の井戸のことです。
この井戸は,専門の地質調査会社に委託して施工しました。
喜多方からみた飯豊連峰
関係者と相談し,地下水観測孔掘削地点を選定(2007年1月28日)
地下水位観測孔の掘削は,ボーリング・マシンを使って行いました。掘削孔の直径は66mmで,深度15
mまで掘削しました。掘削には2日間かかりました。地表面から深度0.70 mでは表土,それより下は深度15
mまで砂礫層でした。途中,深度13.80〜14.00 mには薄い粘土層を挟んでいました。下部の砂礫層は礫の粒径が大きく,玉石大のものが多く入っていました。
地下水観測孔掘削の様子(2007年2月8日)
地下水観測孔の掘削に使用したパイプ
地下水観測孔に挿入したストレーナパイプ
エアコンプレッサーを用いた洗浄の様子
観測用箱の設置
地下水位観測孔の完成!!
<御清水公園 地下水位観測孔の状況>
地下水位は,2007年2月8日午前中の洗浄前で地表面下3.56m,エアコンプレッサーによる洗浄中で3.65
mでした。予想よりも水位は浅いところにありました。
洗浄中の揚水量(エアリフトのため,大雑把な値)は約5リットル/分でしたので,井戸でよく用いられる比湧出量(=揚水量/水位降下量)を算出すると,
比湧出量=5リットル/分÷0.09 m=7.2 m3/day÷0.09 m=80 m2/day
となり,日本各地の水井戸の比湧出量の平均値(約100 m2/day)と比較しても,遜色ない帯水層能力を持っている砂礫層だと判断されます。
掘削中に循環させている泥水(でいすい)の逸水(循環せずに地中に逃げてしまうこと)はなかったようですが,現場のオペレーターの話ですと,下部のほうが水の流れが速いようです。
観測孔洗浄中の地下水の水質を調べた結果(2月8日14:10頃)は,次のとおりです。
水温: 10.4℃
電気伝導度: 10.73 mS/m
pH: 7.78→7.75→7.66(5分後)
酸化還元電位(電極補正無しのORP読み値):132 mV→135 mV→141 mV(5分後)
喜多方の既存浅井戸の水質と比べると,pHがやや高く,ORPがやや低い傾向を示しています。
<地下水位の変動状況>
設置した地下水位自記水位計
Since 13-Feb-2007
<最新の地下水位変動記録> 【New!!】