物質科学分野

アドミッションポリシー

 環境負荷の少ない材料科学・新材料開発をめざした研究教育を展開しています。
無機物質、有機物質それぞれについて、新たな物質の創製、高度な分析のための技術、加えて、それら物質の循環や環境負荷についても併せて探求し、豊かな技術社会の実現に寄与しつつも、環境負荷を最小限に抑え得る、環境持続性に優れた物質科学の実現に貢献することをめざします。

カリキュラム

 物質科学分野のカリキュラムは、主に無機物質・有機物質の創製・分析、およびそれらの循環・環境負荷に関する科目から構成されています。各自の研究内容等に応じて、指導教員と相談の上で、産業システムや人間-機械システムなど関連領域の授業科目をあわせて履修することも可能です。

  • 共生システム特論
  • エネルギーシステム工学特論
  • 物理化学特論
  • 生物工学特論
  • 無機化学特論
  • 分析化学特論
  • 有機化学特論
  • 材料物性特論
  • 合成化学特論
  • 物性物理学特論
  • 有機・高分子材料化学特論
  • 修士論文研究

修士論文のテーマ例

  • 金属錯体上での配位子反応を利用する無機および有機ヒドリド部位の構築
  • ゾルーゲル法による鉄を含んだ二酸化チタンの作成とその特性
  • カスケード型誘導結合プラズマ質量分析システムの機能化と淡水中の放射性ストロンチウム分析
  • Streptomyces sanglieri A14株由来グリセロホスホエタノールアミンエタノールアミンホスホジエステラーゼの諸特性解析ならびに触媒作用機構に関する研究
  • 電顕オートラジオグラフィーを用いた風化黒雲母中放射性セシウムの局所的分布の観察
  • フリーのカテコールを含む金属錯体における活性部位の構造と反応性の関係
  • 単座配位型EDTAを持つペンタアンミンコバルト(Ⅲ)錐体を用いる二核および三核錐体への誘導

院生インタビュー

放射性物質を対象とした分析法を開発。
専門的知見を発揮し、福島の復興に携わり続けたい。
  • 物質科学分野 博士前期課程 2015年3月修了
  • 松枝 誠
  • 所属研究室:高貝慶隆研究室
  • 研究テーマ:カスケード型誘導結合プラズマ質量分析システムの機能化と淡水中の放射性ストロンチウム分析
  • 出身高校:福島県立田村高校

Q, 大学院へ進学したのはなぜ?

 学類時代に所属していた分析化学研究室で研究を続けるうちに、化学系の技術者または研究者になりたいと思うようになりました。学類時代にも就職活動はしていましたが、研究職をめざすにはより深い知識と相応の実力が必要であると感じ、大学院への進学を決めました。

Q, 研究科の魅力は?

 物質科学分野では物質の性質について専門的に学ぶので、材料・バイオ・化学に興味のある人にとって魅力的な分野だと思います。大学院では研究や授業に追われ、つらい時期もありましたが、それ以上に学びや研究・学会発表を通して自分の知見を広げることができ、様々な人との関わりの中で成長することができたと思います。

Q, 研究テーマにどんな面白さが?

 所属する研究室では分析化学を学んでおり、放射性物質を対象とした分析法の開発を行いました。東日本大震災に伴う原発事故で実家が計画的避難区域に指定されたことをきっかけに放射能や放射線に強い興味を抱いたことが、このテーマを選択した理由です。研究の結果、淡水中のストロンチウムのより迅速な分析手法の開発に成功しました。この分析手法が企業など実際の社会の現場で使用されるようになり、社会貢献の実感を持つことができました。

Q, 大学院修了後の進路は?

 修了後は独立行政法人日本原子力研究開発機構で放射能に関連した研究を続けていきます。分析化学と放射線の知識、分析装置の操作スキルなど、大学院で学んだ知識や技術が十二分に生かせる職場だと思います。様々な研究者たちの専門的知見を総動員し、これからも福島の復興に携わり続けたいと考えています。