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  震災報道にもの申す
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Koji Nagahata


archieves
 神戸から帰ってきて、よく聞かれる問いが二つある。
 一つは、「神戸はもう落ち着いたのか」というような街の復旧・復興の状況に対しての問いであり、もう一つは、「避難所も閉鎖されて、とりあえず皆、住むところはあるんでしょ」とか、「テント村はもう無くなったんでしょ」といった、住居に関する問いである。
 このような問いの背景には、神戸の現状に関する情報が不足しているということがあるのではないか。
 確かに震災直後とは違い、被災地発の被災地以外の人々に対して、ニュース性を持って伝えられるべき情報は、少なくなっているし、震災以外の伝えるべきニュースが、いくらでもあることは間違いないであろう。限られた紙面や時間の中で、最新のニュースを伝えなければならないというマスメディアの持つ制約を考えたら、ある程度情報が少なくなるのは、仕方のないことではあろう。
 しかし、一時期あれだけ集中的に報道してきたものであることを考えると、その後のフォローがあまりにも少な過ぎるのではないか。
 神戸の街は、ある程度復旧はしたものの、復興はしていないし、テント村はまだあり、旧避難所で生活している人が未だにいる。
 旬な瞬間だけを伝えるのではなく、その後の推移をも着実に伝え続けていくというような報道の姿勢が必要なのではないか。

(初出:西日本新聞1995年10月22日付,掲載時タイトル:「その後」報道も着実に)




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