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  バリアフル福島大学
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Koji Nagahata


News
 



はじめに
   福島大学は,かつて全盲の学生を受け入れたことがあることもあって,点字ブロック等の視覚障害者を対象としたバリアフリー設備等が一定程度整備されている。しかしながら,全盲の学生が卒業してかなりの月日が経った今,せっかくのバリアフリー設備等が使えない状況になってしまっている。
 福島大学サウンドスケープ研究室(永幡研)は,研究テーマの1つとして,視覚障害者にとってバリアフリーな音環境の研究を掲げているので,たまに,視覚障害者のお客さんが訪問されることもある。そんな時,現状のバリアフリー設備等を体験してもらうのは,大変心苦しい。
 これまでも,関係部局に連絡したり,講義の中でバリアフリーの話をする際,積極的に学内の事例を提示するなどして,問題点を伝えてきてはいる。しかし,多くの場合,喉も通ればなんとやらという言葉どおりのことが起こっているのが実情だ。
 そこで,このホームページを作成し,公開することで,意識の啓発をしてみようと考えた。まずは,永幡が日常的によく通る場所のものから撮影日を明記して掲載し,改善された場合は,その日にちを書き足していきたい。また,永幡がたまにしか通らない場所についても,気づいた時に追記していきたい。


図書館前
2019年9月17日
   「希望のヒカリ」なるオブジェが,図書館周辺に設置されている。資料によれば,福島大学創立70周年記念行事の一環として採択された,学生による事業のようだ。
 このようなものを設置すること自体に文句はない。問題なのは,設置場所だ。左側の写真のものは,点字ブロックをまたぐ形で本体と固定部が設置されており,その間がワイヤーでつながれているため,この点字ブロックを使って,S棟と行政政策が学類棟の間を行き来することが出来なくなっている。また,右側の写真のものは,点字ブロックに近接させすぎて配置しているため,点字ブロックを右伝いで利用する人が図書館から駅に向かって進行する際に,大きな支障となる。
 このような問題を二度と起こさないようにするためにも,学内に仮設物を置く際のガイドラインを策定し,その中で,点字ブロック利用の妨害とならない設置の仕方を明記しておくことが必要と思われる。

2019年9月18日追記
   この一件,学生・留学生課に問題を伝えたところ対応が迅速であった。翌日の段階で,大型のオブジェは,左写真のように完全に点字ブロックにかからない位置に移動されており,小型のオブジェも,許容の範囲と言える位置に移動されていた。なお,小型のオブジェの方の移動位置について,許容の範囲と評しているのは,右伝いで図書館方向に向かう視覚障害者にとっては邪魔な位置ではあるものの,そもそも点字ブロックの敷設の仕方が不適切で,右伝いで図書館方向に向かうことが非常に困難なためである。


S棟出入口
2019年9月17日
   S棟の出入口には点字ブロックが敷かれているのだが,その多くは,機能していない。例えば,左の写真で示した図書館側からS棟に入る経路の点字ブロックは,点字ブロックの上,不揃いにマットが敷かれている。なぜ,この位置にマットが敷かれなくてはならないのか,不明である。また,そこから続く入口を入ると,中央の写真で示したとおり,点字ブロックが完全にマットで覆われている。そして,S棟から経済経営学類棟へ向かう出入口においても,点字ブロックの上にマットが敷かれている。
 なお,経済経営学類棟の入口は,点字マットをよけてマットが設置されている。なので,このようなことが起こっているのは,建物の管理者の意識の問題である可能性が高いと考えるのが妥当であろう。


S棟内
2019年9月17日
   S棟の各教室の入口前には,点字ブロックが1つずつ設置されている。このような設置方法であるのは,一定程度の歩行訓練を受けた視覚障害者は,建物内は壁伝いで歩くことが多く,そのような人にとっては部屋の入口があることを知らせるブロックを設置するだけで十分だからだ。
 福島大に全盲の学生が通っていた当時は,このことが学内で周知されており,壁沿いに机等を置くことはなかった。しかしながら,現在では,そのようなことは忘れられているだけでなく,よりによって点字ブロックの上にまで,ものが置かれている始末だ。
 壁際に机等を置くことは,視覚障害者が壁伝いに歩くことの支障となるだけでなく,せっかく設置されている手すりを利用できなくすることでもある。手すりは,たとえば高齢者等,視覚障害者でなくても利用したい人がいるのではなかろうか。大学を利用するのは,若い健常な大学生だけではないことが,完全に忘れられてしまっているようだ。




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